はじめに
コンポーネントも進化を遂げ、今や12sの時代。一般ライダーにはまだまだお高いイメージですが、プロ環境ではほとんど当たり前の使用状況です。そんな憧れのプロ選手と同じコンポーネントで愛車をパワーアップしてみたくありませんか?
というわけで、今回はプロも使用する12sコンポーネントを各メーカーごとにまとめました。
(正式にはコンポーネントとはシマノの名称でありますが、今回はわかりやすくするため、他ドライブトレインもコンポーネントと表記いたします。)
そもそも12sって必要?実はこんなメリットが!
確かに週末ライダーやホビーライダーには、オーバースペックかもしれません。
しかし、そこは趣味の世界。
オーバースペックでも良いじゃないですか笑
それにちゃんとしたメリットもあります。
メリットその1:巡航時の微調整がしやすくなる
変速段数が多いことの最大のメリットとして、トップ側のギアの差が少なくなるため、巡航時に微調整ができます。
というのも、例えば、高速で巡航をしているとして、向かい風や勾配が続く際に、「少し足を休ませたい」と思った時に、変速段数が少ないとギア比が一気に下がってしまう(0.3ほど)ので、同じケイデンスで回した際に、時速にして3kmほど遅くなってしまいます。(例時速30km→時速27km)
一方で、11速や12速などのリア段数が多い場合は、トップ側5枚くらいは歯数差が1枚となっているため、同じケイデンスの時の速度差が1kmほどで済みます。(例時速30km→時速29km)
郊外の道やサイクリングロードなど信号が少ない道を走る際、「速度はなるべく維持しつつ少し足を休めせたい」というシーンがあ流と思います。そういったシーンで多段化はとても有効的です。
メリットその2:ロー側を広げることができる
巡航速度レンジのギア比をクロスレシオにしておくと、どうしてもロー側の最大ギアが小さくなってしまいます。
勾配の大きい坂道を登坂する際に、ロー側に30Tや32Tの大きなスプロケットが欲しくなりますが、変速段数が少ないと、ロー側を広げるとトップ側のギア差が大きくなってしまうため、巡航速度時の細かい調整が犠牲になってしまいます。
変速段数が多いと、ロー側を広げてもトップ側はある程度歯数差をつめた状態の構成にできます。
つまり、急勾配な道など走れるシチュエーションが増えるということです。
メリットその3:フロントの選択肢も増える
ロードバイクのギア比は、フロントチェーンリングの歯数を分母にするため、フロントの選択肢がバイク全体のギア比に大きな影響を受けます。
変速段数が少ない状態でヒルクライムなどの坂道を走る場合は、どうしてもフロントのチェーンリングを50-34Tなどのコンパクトクランクにすることで全体のギア比を下げて対応することが多くなります。
しかし、リア変速が多い12sなどの場合は、ロー側を広げることができるため、フロントチェーンリングを52-36Tなどのノーマルクランクにしたままでも、急勾配な坂道にも対応できます。
しかも、11速以上であればロー側を広げてもトップ側は4枚くらいは歯数差が1になるので、トップスピード時のギアも殺さずに済みます。
『12sコンポーネント』ハイエンドコンポーネント達をご紹介!所有欲も満たせる!
シマノ (日本)
・デュラエース r9200
シマノのロードテクノロジーとイノベーションの頂点である、新しい12速のR9200 DURA-ACE 。シマノ史上、最も速く、そしても優れたドライブトレインです。最終ステージのシャンゼリゼ通りを走り抜けるときも、あるいは地元の坂道を駆け上がるときも、エ ンジニアは常に最高の性能を提供できるよう、各コンポーネントの機能を究極の域まで高めました。
引用:シマノデュラエース
シマノの最高峰でプロ選手御用達のハイエンドコンポーネント。そのデュラエースも他メーカーに遅れながらも12s化を果たしています。
リムブレーキとディスクブレーキをラインナップしており、どちらも12s仕様です。
変則性能も大幅に向上し、まさしくシマノの集大成ともいえる最高峰コンポーネントとなりました。また、Di2テクノロジーはぺっだリング時の効率向上の解決策の一つでもあり、確かな変速を約束してくれます。
・アルテグラ r8100
あなたにとって本当に価値のある時間とは?
自由を誘う、どこまでも続くアスファルト。朝日と夕日で表情を変える世界。 笑い声が満たす空気と余韻。
進むにつれて広がる自然。 思わず立ち止まってしまうほどの美しい風景。
コーヒータイム、語らいのひと時。 雲行きを気にし、ルートを再考。 雨、雲間から差し込む陽射しを背に 無心の全力スプリント。 山頂までの互いの駆け引き。 そして家路までのライド・・・
そう。それは日常から切り離された、自由なひととき。 内なる声に耳を傾け、 自然の中へ溶け込もう。引用:シマノアルテグラ
セカンドグレードのアルテグラR8100。とはいえ、アマチュアのみならず一部のプロチームも使用するほどの完成度を誇ります。
デュラエースと同じく、リムブレーキとディスクブレーキをラインナップしており、どちらも12s仕様です。
デュラエースには及びませんが、新型アルテグラr8100はかつてのデュラエースの変則性能を上回るのも確かな事実です。ホビーユースには勿体ないくらいの性能で、レースでも十分活躍出来ます。
・105 r7100
新たなSHIMANO 105は、Di2シフティングをより多くのライダーに届けます。 機械式のシフティングやエルゴノミクスしか経験したことのないライダーにとって、Di2シフティングはロードサイクリング体験を大きく変えるものです。
DURA-ACEやULTEGRAから受け継いだ機能と技術を搭載し、シマノの長年の研究開発の集大成ともいえる新型SHIMANO 105。 Di2プラットフォーム、洗練されたエルゴノミクス、最適化されたギアコンビネーション、卓越したブレーキシステムなどにより「ハイコストパフォーマンスかつハイパフォーマンスモデル」の新時代を切り拓きます。引用:シマノ105
デュラエース、アルテグラのテクノロジーを継ぐ、第三のコンポーネントとして、Di2、ディスク専用設計で生まれ変わった、新型105。
ディスクブレーキモデル専用となり、12s化を果たした105r7100は、もはや、かつての105とは別物です。より多くのライダーに確かなシフティング性能の体験を届けます。
スラム(アメリカ)
・レッド Etap AXS
リア12速に対応し、より多くのギアレンジ、さらにはよりスムーズになったシフト性能、eTapシフトロジックによる誤操作のないシンプルな操作性を実現しています。
AXSはSRAMの新しい電動コンポーネントの統合システムを意味しています。
ライダーはSRAM AXSアプリケーションを使用して様々な設定をパーソナライズすることが可能になったのも革新的なSRAMならではです。
例えば左右のシフトボタンの役割の変更やディレイラーの変速パターンの拡張も可能になっており、各バッテリーの状態確認や充電タイミングのリマインド、ファームウェアのアップデート等もアプリで行うことができます。
ドライブトレインはリア12速に進化。
これは、単にギアを1枚追加するのではなく、従来のロード用のフリーボディでは使用できなかった10Tを追加し、リア側でより重いギアレンジをカバーすることが可能にしています。
その恩恵はフロントのシフト性能向上にも大きく貢献。チェーンリングを小さくしても従来以上のギアレンジをカバーすることができるので、チェーンリングは50/37、48/35、46/33の3種類に設定が可能になりました。歯数差を13歯で共通化しそれに最適化されたフロントディレイラーを組み合わせることで、最高のフロント変速性能を実現しています。
リアディレイラーには新たにシリコンフルードのダンピングシステムを採用し、SRAMが得意としていたチェーンマネジメント性能をさらに進化させ、システム全体で効率・信頼性・耐久性を向上させています。
・フォース Etap AXS
フォースeTap AXSの基幹となる技術は、先に発表されたレッド eTap AXSからほぼ全てを受け継いでいます。
12スピードに最適化されたギア構成の”X-RANGE”、そしてそれを可能にするトップ10Tのための新型フリーボディ規格”XDR”、外周部が平らにされた印象的なデザインによってスラム史上最高の耐久性を実現した”フラットトップチェーン”、プーリーケージの動作を油圧ダンパーによって制御することで、あらゆる路面でのチェーンテンションを適切にコントロールする”オービット”、あらゆる規格に対する互換性を持つBBシステム”DUB”。などなど。
レッド eTap AXSに備わっているテクノロジー全てが、フォースにももたらされています。
価格で見れば、フロントダブルのディスクブレーキ仕様のシフター/ディレイラー/バッテリーチャージャーのセットが266,800円となっており、同内容レッド eTap AXSの359,964円に対して約100,000円ほど抑えられているのも一般ライダーには嬉しい点です。
レッドとの大きな差はルックスと重量に現れています。
ラグジュアリーな印象を与えるシルバーを基調としていたレッドに対し、フォースはブラックメインのコンポーネントで精悍なイメージに仕上がっています。
特に大きく異なるのはクランクセット。ダイレクトマウント方式となるのはレッドと同様ですが、FORCEはダブル仕様の場合、スパイダーアームを介してチェーンリングを装着するのは、大きく異なるポイントです。
重量面においては、フロントダブルのディスクブレーキ仕様のフルセットで比べると、レッドが2,518g、フォースは2,812gと約300gほどの重量増となっています。リムブレーキ仕様ではその差は縮まり、レッドの2,254gに対しフォースは2,453gと約200gほどの差となっています。
・ライバル Etap AXS
上位モデルの機能を継承した第3のグレード、ロードワイヤレスコンポーネント「RIVAL eTAP AXS(ライバル・イータップ・アクセス)」がラインナップに加わっています。
上位モデルと同じ、電子パーツ、モーターを採用し”(レッド)””(フォース)”と比べ遜色の無い動作を実現。12速、無線が20万円を切る値段で手に入れることができます。
1×仕様ならば16万円台と高いコストパフォーマンスを発揮します。
さらにAXSシステムは共通なので、レッド、フォース、ライバルの3グレード間でレバーとデイレイラ―の互換性が保たれており、バッテリーも共通。また、ブレーキは油圧専用設計になっています。
上位モデルとの大きな違いをいえば、レバーにある拡張用のブリップスポートを簡素化して、コンパクト化している点と、リアディレイラーのクラッチ方式を変えてる点。そうすることでコストを抑えています。
基本的なAXSのシステムは変わりません。
カンパニョーロ(イタリア)
・スーパーレコード
カンパニョーロのハイエンドモデルにして、全ライダーの憧れの魔都でもあるコンポーネント。
エルゴパワーと呼ばれているカンパニョーロのテクノロジーは、直感的な操作が特徴であり、官能的なシフティングを味わえます。
エルゴパワーとは、カンパニョーロの独自のテクノロジーで、ブレーキ一体型変速システムのことです。変速用のレバーが親指と人差し指の位置にあるのが特徴です。
素材にカーボンが使用されるなど、まさしく高級コンポーネントそのものですね。
プロチームももちろん使用しており、見た目だけではなく性能の実績も証明されています。
ディスクブレーキ、リムブレーキに対応しています。
・レコード
スーパーレコードのテクノロジーを引き継いでおり、こちらもリムブレーキにも対応しています。
基本設計は同じで、機能面では、機械式SUPER RECORDと遜色のない高いレベルに仕立てられており、重量も2,200〜2,454gと、これまた、スーパーレコードと遜色ない軽量性を持ち合わせています。
そして、価格はおおよそSUPER RECORDの半額に抑えられているため、高グレードながらも手ごろに購入しやすいモデルになっています。
これは嬉しいですね。
・コーラス
割とつい最近、12s化を果たしたカンパニョーロのミドルグレード、コーラス。
こちらは基本的なテクノロジーを踏襲しながら、素材の変更などでコストカットを遂げ、より、一般ライダーにも手を出しやすいコンポーネントへと進化しています。
とはいえ、エルゴパワーで得られる変速フィーリングはまさしくカンパニョーロといったもの。レースも十分狙える、高級コンポーネントなのは間違いないです。
センサー(中国)
・エンパイア・プロ
中国の新興コンポーネントメーカー『センサー』。
近年では、かつてOEM生産を請け負っていたアジアに工場を持つ会社が、そこで培った技術力を生かし、自社ブランドを作る流れが起きており、今や中国メーカーも例外ではありません。
こちらのコンポーネントは主に11sですが、ハイエンドモデルの『エンパイア・プロ』はリア12sです。
まだまだ知名度も、実績もあまりありませんが、唯一無二のメリットとして、低価格で12s化が可能です。
さすがのコスパ力ですね。そして気になる価格は
カーボン製シフトレバー、21780円(左右)
フロントディレーラー、3850円
リアディレーラー、9350円
カセットスプロケット、7480円
となっています。
詳しい記事はこちらにまとめてます!
所有欲も満たせて愛車もパワーUP!
いかがでしたか?
ちゃんとしたメリットもありつつ、所有力も満たせて、性能も上がる
これほどサイクリストにとって嬉しいことはないのではないでしょうか?
もちろん現時点で、11s以下のコンポーネントを使用している場合、コンポーネントだけでなく、それに対応したホイールを別途購入しなければならないというデメリットもありますが、今後さらに12sが普及してくることを考えると、決して高すぎる投資ではないようにも感じます。
というわけで、今回は、12sコンポーネントをご紹介いたしました。
お金をたくさん持っている方で、まだの方は是非、愛車の12s化アップグレードを検討してみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。