はじめに
近年はロードバイクの性能が著しく上がっています。中には、昔ながらのオーソドックスなロードバイクも存在しますが、最新モデルで多く見かけるのはケーブルをフル内装し、ディスクブレーキと、エアロ形状を採用したフレームを持つロードバイクです。
また、ケーブル類をフル内装することによるメリットや恩恵はかなり大きいです。
今回は2023年モデルで、そんな最新の規格を持つケーブルワイヤー類フル内装のハイエンドロードバイクを8つご紹介いたします。
ケーブル類フル内装のメリット
空力性能にプラスの影響
意外にもケーブル類が外に出ていることで、走行時に与える空気抵抗への影響は小さくないです。
これがフル内装化されることによって高速走行時の車体に与える空気抵抗を削減できます。
なので、各社ハイエンドモデルは近年ケーブルワイヤー類のフル内装を行っています。
見た目もスッキリ
また、ケーブルワイヤー類がフレームなどに収まることでスッキリとした見た目も味わえます。
ロードバイクは高価なものですから、やはり見た目にも拘りたいですよね。
ケーブルフル内装ハイエンドロードバイクおすすめ8選!高性能なモデルをご紹介!
キャノンデール システムシックスHi-MOD(アメリカ)
引用:キャノンデール公式サイト
SystemSixは6つエリアが一体となり、剛性を最適化し、最速のスピードを生み出すよう設計されており、どのロードバイクよりも空気抵抗を抑えることが可能だとか。
空気抵抗を削減するということは、ライダーのエネルギーをセーブし、長距離でも楽に走ることが可能になっています。
6%までの勾配であれば、ただ軽いだけのクライミングバイクよりも速く駆け上がることができるそうで、また、 平地を時速48㎞で走行した場合、通常の軽量レースバイクと比較すると50ワット以上のパワーセービングを実現しています。
たとえ、ドラフティング走行だとしても、最大60%の恩恵を享受できるアドバンテージはとても大きいです。
トレック マドンSLR(アメリカ)
引用:トレック公式サイト
新型マドンの開発において、「より速く、より軽く」というチームからの要望を実現するべく、まず、テクノロジーのキーポイントになったのが新素材、『OCLV800カーボン』です。
先代マドンSLRにも2020年モデルでOCLV800が採用されていましたが、今回はOCLV800をベースにフレーム開発をゼロから進めたそうで、さらなるエアロダイナミクスを実現しています。
CFD解析と風洞実験を実施し、2022年5月にエレン・ファン・ダイクがTTバイクのスピードコンセプトでアワーレコードの世界新記録を樹立し証明した高いエアロ技術をベースに、新型マドンもエアロ性能を追求。サンディエゴの風洞施設でライダーが乗車した状態で、ボトルも装着した実際の状況を再現するなかでフレーム設計が進められました。
それに加え、シームレスなフォルムを実現した、新型マドン専用設計の一体型ハンドル。前作の2ピースハンドルよりも150gもの軽量化を達成し、また、ドロップ部と比べてブラケット幅が3cm狭く設計されている点が特徴です。
42cmモデルの場合、ドロップ幅が42cm、ブラケット幅が39cmにな理、これにより、ブラケットポジションでのエアロフォームを効率化できるそうです。
ただし、一体型のため前作のようにハンドル角の微調整はできないのは注意が必要です。
トレック エモンダSLR(アメリカ)
引用:トレック公式サイト
OCLV800の採用を軸に、各部にエアロチュービングを採用することでアンダー700gを維持しつつ大幅なエアロダイナミクスの向上を果たした新型エモンダ。
アルプデュエズをはじめとした世界各地の主要なヒルクライムコースで先代よりも優れたタイムを叩きだした3世代目です。
ディスクブレーキ専用のセミエアロフレーム、ケーブル内装+エアロ形状の新型コックピット、T47BBやH1.5フィットを投入しました。
新型Émondaの最重要課題とされたのが、エアロダイナミクスの改善です。
ダウンチューブを筆頭に各所がエアロ形状となったことは見た目にもすぐ分かる変更点であり、トレックに既に存在するエアロロードのMadone、そしてDomaneもエアロ化を果たしていますが、新型エモンダはそれらや従来のモデルと差別化を図るべく、Madoneや旧型Émondaをベースとすることなく、多数のデザインアイデアとCFD解析をかけ合わせ、一から専用設計されています。
スペシャライズド S-worksターマック(アメリカ)
UCI規則に準拠した最速フレーム形状を追い求める中で、S-worksターマックは、Vengeの開発工程を手本に、FreeFoil Shape Libraryを活用しました。
スーパーコンピューターがはじき出した理想の形状を自社風洞施設のWin Tunnelに持ち込み、モジュール式のテストバイクに組み込んでテストと確証を行い、その結果、SL6と比較して距離40kmの走行で45秒速いそうです。
エアロ性能はTarmacのみならずスペシャライズドのすべてのレースバイクの開発で最重要視された要素でしたが、重量も最高のレースバイクに欠かせないという考えのスペシャライズドは、新型Tarmacの開発では、エアロ性能を犠牲にすることなく、箱から出した状態でUCIの重量制限と同じかそれを下回ることを目標にしたそうです。
FreeFoil Shape Library、有限要素解析、業界最高のエンジニア集団が持つ技術の力を借り、エアロ性能、剛性、ライドクオリティを犠牲にすることなくたった800グラムのフレームを完成させ、エアロ性能、軽量製の両立を果たしています。
Vengeの開発で培った経験を活用し、新型Tarmacのコックピットはシンプルな一体感があり、すっきりとしていて速さに貢献しつつも、調節性に優れています。
機械式シフティング、既存のステム、丸ハンなど、あらゆるセットアップを可能にしつつ、空気抵抗を抑えており、これらの特性から、新型Tarmacでは整備性が大幅に向上し、遠征時の組立・分解が行いやすくなりました。
ジャイアント プロペルSL(台湾)
引用:ジャイアント公式サイト
剛性を維持しながら軽量化し、クラストップレベルの重量剛性比に加え、さらにエアロダイナミクス性能を追求した最先端フレーム。
フレーム形状を幾多のCFDと風洞実験を経て横風起因の乱気流に最適化、大幅なエアロ性能の向上に貢献しています。
新たに設計されたケーブル内装式カーボンバー&カーボンステムは、高いエアロ性能と高いメンテナンス性を両立しポジションの調整が簡単になっております。
また、軽量化のためにトップチューブやシートチューブ、シートステーのボリュームを削ぎ落としつつ、先代から引き継ぐワイド&ショートの断面形状(トランケイティッド・エリプス)を盛り込んだヘッドチューブやダウンチューブといったフロントエリアは、トップスプリンターの武器となるべく超マッシブな仕上がりに進化しました。
フォークコラムはケーブル内装をするために、ジャイアント独自のOverDrive2をベースにD断面を採用した、新開発のOverDrive AERO(上側1-1/2インチ、下側1-1/2インチ内径ベアリングを使用)を新規投入しています。
メリダ スクルトゥーラV(台湾)
引用:メリダ公式サイト
新型「スクルトゥーラ V」は、軽量ロードバイクとしてのこれまでの伝統を受け継ぎながら、空気抵抗を徹底的に減らし、快適性を新たなレベルまで高め、さらに重量を極限まで削減、ワールドツアーをはじめとした、ビッグレースにも勝てる万能なオールラウンドモデルとなりました。
2006年に初代が登場したスクルトゥーラは、軽量性、快適性、反応性、『クラシック』な見た目に加え実証されたレーシングパフォーマンスを備え、国内外のトッププロロードチームの戦いを支えるマシンとなっていました。
そして、「スクルトゥーラ V」では、これらの重量や快適性といった要素をさらに向上させるのはもちろん、空力性能の水準を引き上げることを目指し、開発されています。
前モデルと比較し最上位機種である新型スクルトゥーラ チーム(スクルトゥーラ V チーム)のフレームは、4%以上の軽量化を実現すると同時に、フレームの設計を見直し、最大30mm幅タイヤの装着が可能に。
それにより、しなりを生むシートポストを露出させることが可能となり快適性が向上しました。
またケーブル類を完全に内蔵した一体化コックピット、ヘッドチューブとフォークの形状変更、そしてシートステーの取り付け位置を下げるなどのフレームの改良により空力性能を大幅に高め、「スクルトゥーラ V チーム」では、前モデルに比べ45㎞/h 走行時の空気抵抗を10Wほど削減することを可能にしています。
結果として「スクルトゥーラ V」は、これまでと同様に、多機能な軽量オールラウンダーでありながらも、最高レベルのパフォーマンスを発揮できる性能を身に付けました。
快適性、空力性能が大幅に改善されているにもかかわらず、「スクルトゥーラ V チーム」では、UCI によって定められた6.8kg の重量制限に近い軽さも兼ね備えているのもポイントです。
グスト レンジャーEVO DB LEGEND (台湾)
出典:グスト公式サイト
このバイクの特徴はなんといっても、左右非対称デザインであるということです。
フォークの非対称デザインは、DISCブレーキの制動力によるもの、駆動系側のもの、路面からの振動への耐性など、フォークがねじれにくいように設計してあり、右フォークの溝設計も縦方向の剛性を高めています。
同じく左右非対称のシートステー・チェーンステーは、設計ステーの断面を菱形にすることで、縦横の剛性と乗り心地を大幅に向上させることに成功させています。
駆動側(右側)の動力伝達を強化し、フレームの歪みによるパワーロスを防いでいるそうです。
フレームには東レT-1000を採用し、走行中のたわみなどの変形を抑えつつ、ペダリング時のパワーロスを軽減させています。
アンカー RP9 (日本)
出典:アンカー公式サイト
日本のロードバイクメーカー アンカー が誇るハイエンドディスクロードがこのRP9です。
このロードバイクが具体的に目指したものは、「ステージレースを1台で戦える」ということです。
このRP9の開発に当たっては、同じく国際大会で華々しく活躍するアンカーの、トラックバイクの開発技術を惜しみなく反映、踏襲させています。
空力性能、剛性、重量の最適バランスを追求したオールラウンダーバイクでもあり、平地での高速巡行や登坂、そしてアタックと複数の環境が入り乱れるレースやコースでも、柔軟にその高い性能を発揮します。
ケーブルフル内装による性能向上、見た目の良さ。それがモチベにつながる。
どのモデルも各社の企業努力やテクノロジーが詰まった最新ロードバイクなのは間違いなく、プロ選手からも熱い信頼と、実績を獲得しています。
我々のようなアマチュアライダーには必要のないスペックにも思えてしまうほど高性能な作りですが、それとこれとは別の話。
我々アマチュアは好きなロードバイクに、好きなカスタムをして(プロチームと同じ仕様にも)サイクリングやレースに挑めるという、ある意味、プロにはない特権を持っています。
そんな特権を活かすなら見た目までも拘りたいですよね。
ケーブル内装化や、高い性能は、例え違いがわからなくても乗り手である我々のモチベーションをグンと上げてくれます。
そんな魅力が、ロードバイクを楽しむことの醍醐味、なのではないでしょうか。