「2025年版」UCIによるギア比の最大展開長の制限について

つい最近発表されたUCI新規定、「最大展開長10.46m(=54×11相当)」の制限。
今回はそんなUCIによる「最大展開長10.46m(=54×11相当)」の制限に対応する、2025年以降の機材選定の具体例とその意義についてご紹介します。
展開長制限に対応する新モデルの基本方針

1. 展開長上限=「54T × 11T」以内
UCIは2026年以降「54T × 11T」を超えるギア比(例:54×10、56×11)のレースでの使用を不可としました。
使用可能なギア構成は展開長が10.46mを超えないよう制御する必要があります。
機材メーカー別:対応方向の独自分析

Shimano(シマノ)
12速ロードコンポ(R9200系、R8100系)は、11Tスタートのカセット(11-30, 11-34)が標準です。
チェーンリングは52/36T、54/40Tが選択肢として現実的です。54T×11Tを使えば上限ピッタリで、制限内ギリギリの最大展開長を狙えます。
注目の構成例(DURA-ACE)
- クランク:FC-R9200 54/40T
- カセット:CS-R9200 11-30T
- 展開長:54×11=10.46m(ギリ適合)
空力的にも最適化されたTT向け機材をそのままロード用に転用可能です。
SRAM(スラム)
SRAM(スラム)は最大の影響を受けたブランドです。なぜなら10Tトップが標準(10-28Tなど)だったためです。
例えば54×10では展開長が11.29mと完全にルール違反になります。10Tスプロケットは今後レースでは使用不可となります。
SRAMが取り得る対応策
専用11Tスタートのカセットを新設計
→ 例:11-28T、11-30TをRED AXSラインで投入
クランク側での制限(例:最大チェーンリング52Tまで)とセット販売もあり得る
今後想定される適応構成例
・クランクは48/35Tまたは52/39T(将来的な新型)
・カセット:11-30T(仮想)
展開長:52×11=9.97m(余裕を持って適合)
高トルク×高ケイデンス型スプリンターに特化したギア設計へと転換が必要。
Campagnolo(カンパニョーロ)
Ekar以外は12速/13速ともに11Tスタートが主流です。現状でも54T×11Tまでが最大なので大きな仕様変更は不要です。
SUPER RECORD WRLでの想定例
- クランク:52/39T または54/40T
- カセット:11-29T
- 展開長:54×11=10.46m(上限ピッタリ)
カンパはむしろ展開長制限に「初期設計から親和性が高い」ブランドと言えるでしょう。
競技的な設計思想の転換点

「トップスピード神話」からの脱却
以前は「どれだけ高いギアを踏めるか」がスプリント性能の象徴でした。しかし今後は、
- 10.46mの中で最も効率的にトルクを出す構成
- 無理なケイデンス管理を避けた安定性重視の設定
- リアセンターやBB位置といったフレーム側の剛性設計も再考
といったことにシフトチェンジしていくでしょう。
ギア構成の工夫例
48T × 11T → 展開長:約9.3m(高速巡航向き、負荷少)
52T × 12T → 展開長:約9.1m(柔らかく踏める回転型)
54T × 11T → 展開長:10.46m(最大ギリ、加速の最後に使う一手)
「1段低く、1段多く回す」ことがこれからのレース設計で主流になっていくかもしれませんね。
フレームやホイールへの影響

TTバイク設計の見直し
これまで「55T×10Tで下りでも踏めるように」という設計だったTTバイクは、チェーンリング最大サイズの見直しが必要となってきます。
代わりに、リアセンターを短くして“より反応性を高める”方向へと進化する可能性もあります。
ホイール選びも再定義
ハイスピード域の慣性保持よりも、瞬間加速・反応性が評価されるようになるかもしれません。また、50~60mmリムより、35~45mmミッドハイトリムの再評価が始まるかもしれないですね。
まとめ:ギア制限=“選手の知性”を問う時代へ

UCIの展開長制限は単なる機材制限ではなく、選手とチームが「与えられた制限内でどう戦略を最適化するか」を問うゲームチェンジです。
メーカーは制限に合わせた「知的なスペック設計」、選手は「脚質とポジショニングに最適なギア選定」が重要になります。
今後この変更がどのような影響を及ぼすのか見守っていく必要があるでしょう。