はじめに

SRAM(スラム)はアメリカ発の自転車コンポーネントメーカーで、特に革新的な技術と軽量な設計を特徴としています。
ロードバイクのコンポーネント市場ではシマノやカンパニョーロと並ぶ主要メーカーの一つであり、特にワイヤレス電子変速技術(eTap AXS)やフロントシングル(1x)ドライブトレインで注目されています。
SRAM(スラム)の特徴

1. SRAMの主な特徴
- 完全ワイヤレス電子変速(eTap AXS)
- X-Range™ ギアシステムによるワイドレンジなギア比
- 1x(フロントシングル)ドライブトレインの積極採用
- 油圧ディスクブレーキ標準装備
- シンプルな操作性と直感的なシフトコントロール
2. SRAMの主なコンポーネントラインナップ
SRAMのロードバイク向けコンポーネントは、大きく分けてRed、Force、Rival、Apexの4つのシリーズがあり、それぞれ価格や性能が異なります。
グレード | 変速方式 | 主な特徴 | 対象ライダー |
---|---|---|---|
Red AXS | 電子ワイヤレス(eTap AXS) | 最軽量・最高性能・プロ仕様 | レース志向、プロ |
Force AXS | 電子ワイヤレス(eTap AXS) | Redの技術を継承しつつコスパ重視 | レーサー・上級者 |
Rival AXS | 電子ワイヤレス(eTap AXS) | コストパフォーマンス最重視 | 初心者〜中級者 |
Apex AXS & Apex 1 | 電子ワイヤレス / 機械式 | 1x(フロントシングル)対応、グラベル向け | ロード・グラベル・アドベンチャー |
SRAMコンポーネントの特徴

1. eTap AXS(ワイヤレス電子変速)
SRAMの最大の特徴の一つは「eTap AXS」という完全ワイヤレスの電子変速システムです。他メーカーの電子コンポーネント(例えばシマノDi2)は一部の配線が必要ですが、SRAMは完全ワイヤレスで、シンプルな構造とメンテナンス性の高さを実現しています。
- 左右独立した変速操作(右レバー:シフトアップ、左レバー:シフトダウン)
- Bluetooth & ANT+対応でスマホアプリ「AXS」で細かい設定変更が可能
- バッテリー着脱式で充電が簡単(シマノの内蔵バッテリーとは異なる)
2. X-Range™ ギアシステム
SRAMのコンポーネントは、独自の「X-Range™」というギア設計を採用。これは、従来のフロントギアの歯数を小さくし、リアスプロケットのギアレンジを広げることで、よりスムーズな変速と最適なケイデンス維持を実現しています。
- フロント:通常より小さい48/35Tや46/33Tを採用
- リア:10Tのトップギアを備えたワイドレンジ(10-33Tや10-36T)
- よりスムーズな変速と、最適なケイデンスを維持しやすい設計
3. 1x(フロントシングル)システム対応
SRAMは、フロントシングル(1x)ドライブトレインの開発に積極的です。1xシステムは変速のシンプル化、軽量化、チェーン落ちのリスク低減といったメリットがあります。特にグラベルロードやシクロクロス、アドベンチャーバイクで広く採用されています。
- フロントディレイラー不要でトラブルを減少
- ワイドなギアレンジで1xでも十分な変速幅を確保
- チェーン保持力が高いことでオフロードでも安心
4. 油圧ディスクブレーキ標準搭載
SRAMは早くからディスクブレーキを標準装備とし、機械式リムブレーキよりも圧倒的な制動力とコントロール性を提供しています。
- リムブレーキよりも強力な制動力
- 天候に左右されにくい(雨天時も安定したブレーキング)
- 疲労軽減(少ない力で強力なブレーキングが可能)
5. 幅広いラインナップ(エントリー〜ハイエンド)
SRAMは、プロフェッショナル向けの最上級グレードから、一般ライダー向けのエントリーグレードまで幅広いラインナップを展開しています。
- Red AXS(最高級・プロ向け)
- Force AXS(ハイパフォーマンス・レース志向)
- Rival AXS(コストパフォーマンス重視)
- Apex AXS & Apex 1(グラベル・アドベンチャー向け)
SRAMロードバイク用コンポーネント一覧!
SRAM(スラム)は、ロードバイク向けに多彩なコンポーネントを提供しており、各シリーズは独自の特徴を持ち、さまざまなサイクリストのニーズに応えています。
1. Red AXS E1

特徴
SRAMのロード用フラッグシップコンポーネントで、5年ぶりにフルモデルチェンジされました。
新型のRed AXS E1シリーズは前作から正常進化を遂げ、あらゆる面で機能が洗練されています。ブレーキレバーは細く握りやすくなり、どのポジションでも快適になるよう設計されています。
また、新しいデザインは、従来型のRed eTap AXSと比較してフードからブレーキングする際の力を80%軽減しました。これによりライダーは指1本でのブレーキングが可能になります。
リーチアジャスト機能やContact Point Adjustmentも搭載しており、あらゆる手のサイズにフィットしレバーストロークの深さも調整可能です。さらに、機能を追加できる「ボーナスボタン」によりレバーフード上部でシフト操作が可能になり、このボタンはサイクルコンピューターの操作に割り当てることもできます。
フロントディレイラーには待望のオートトリム機能が採用され、RDの動きによってFDケージが微調整されるためFDケージの幅を短縮し、素早い変速を可能にしています。
リアディレイラーは従来モデルと比較して16g軽く、より効率的で万能になりました。1種類のディレイラーで1X・2X、オンロード・オフロード両方に対応します。
クランクセットはカーボンレイアッププロセスの改良により29gの軽量化に成功し、小柄なライダーやショートクランクを求めるライダーのニーズに応え、160mmのクランクアームがラインナップに加わります。フラットトップチェーンは軽量な中空ピン、摩耗を抑えるハードクロームメッキはそのままに、インナー/アウタープレートに肉抜き加工を施し、前世代から13gの軽量化を実現しました。
リアカセットは10-28Tと10-33Tに加え、新たに10-30Tと10-36Tを追加し、チェーンリングの組み合わせとカセットレンジによる組み合わせはどちらも定評があります。
これらの進化、軽量化によりRed AXS E1は前作より153g軽量化され、マーケットで最軽量の電動変速コンポーネントとなりました。
ちなみにフルセットでの合計重量は2,496gです(フロントダブル、クランク172.5mm – 48/35T、カセット10-28T、160mmローター×2)。
ほとんどのパーツが旧モデルより低価格を実現しており、例えばレバー&ブレーキは¥128,600から¥113,800に、フロントディレイラーは¥82,450から¥76,000に、リアディレイラーは¥146,100から¥118,000に価格が下がっています。また、前モデルとの互換性もあり、RED AXS E1シリーズは前モデルのRED AXS D1シリーズはもちろん、ミドルグレードのForce AXS、エントリーグレードのRival AXSとも互換性を持たせています。
おすすめのサイクリスト:
プロフェッショナルなレースシーンで最高のパフォーマンスを求めるサイクリストや、最新技術と軽量性を重視するエリートライダーに最適です。また、システム全体のカスタマイズ性を活用したいテクノロジー志向のライダーにも適しています。
Red eTap AXS D1
特徴:
Red eTap AXS D1は、SRAMが初めて実用化したワイヤレス電子変速システムのフラッグシップモデルです。12速化とトップギアに10Tを採用することで、ギアレンジが拡大し、よりスムーズで迅速な変速が可能となりました。また、AXS™アプリを使用することで、シフトモードの変更やバッテリー残量の確認など、さまざまな設定をカスタマイズできます。
おすすめのサイクリスト:
最高のパフォーマンスを求めるプロフェッショナルや、最新技術を体験したいエンスージアストに適しています。レース志向のライダーや、バイクのカスタマイズ性を重視する方におすすめです。
Force AXS D2
特徴:
Force AXS D2は、SRAMのミドルグレードに位置するワイヤレス電子変速システムです。Redシリーズの技術を継承しつつ、コストパフォーマンスに優れています。12速のeTapテクノロジーを採用し、直感的な操作性を実現しています。また、X-Rangeギアリングにより、幅広いギア比を提供し、さまざまな地形や走行スタイルに対応します。クランクセットにはパワーメーターのオプションもあり、トレーニングデータの収集が容易です。
おすすめのサイクリスト:
レース志向のアマチュアライダーや、長距離ライドを楽しむエンスージアストに適しています。高性能とコストのバランスを求めるサイクリストにおすすめです。
Rival AXS
特徴:
Rival AXSは、SRAMのエントリーグレードのワイヤレス電子変速システムです。12速のeTapテクノロジーを採用し、シンプルで直感的な操作が可能です。X-Rangeギアリングにより、幅広いギア比を提供し、日常のライドから週末のロングライドまで対応します。また、クランクセットにはパワーメーターのオプションもあり、手頃な価格でトレーニングデータの収集が可能です。
おすすめのサイクリスト:
ロードバイク初心者や、手頃な価格で電子変速システムを体験したいライダーに適しています。日常の通勤・通学から週末のサイクリングまで、幅広い用途で活躍します。
Apex 1x12speed
特徴:
Apex 1x12speedは、SRAMのエントリーモデルでありながら、1x(シングルチェーンリング)ドライブトレインを採用しています。これにより、シンプルで軽量な構成を実現し、メンテナンス性も向上しています。12速のワイドなギアレンジを持ち、オンロードからグラベルまで多彩な地形に対応します。
おすすめのサイクリスト:
シンプルなバイク構成を好むライダーや、グラベルライドやアドベンチャーライドを楽しむサイクリストに適しています。また、メンテナンスを簡略化したいユーザーにもおすすめです。
各シリーズは、ライダーのニーズや予算に応じて選択でき、SRAMの先進的な技術とデザインが組み込まれています。自身のライディングスタイルや目的に合わせて、最適なコンポーネントを選ぶことが重要です。
まとめ:SRAMコンポーネントはこんなサイクリストにおすすめ

✔ 最新のワイヤレス電子変速を試したい人 → Red AXS / Force AXS / Rival AXS
✔ より軽量でシンプルなシステムが欲しい人 → 1x(フロントシングル)システム
✔ ワイドレンジのギアを活用したい人 → X-Range™ 採用モデル
✔ グラベルやシクロクロスを楽しみたい人 → Apex 1 / Rival AXS(1x対応)
✔ コストを抑えつつ高性能を求める人 → Rival AXS / Force AXS
SRAMのコンポーネントは、最先端技術を取り入れながらも、直感的で扱いやすい設計が特徴です。特にワイヤレス変速とX-Rangeギアが生み出すスムーズな走行感は、一度体験すると病みつきになるサイクリストも多いでしょう。