はじめに

先日あるサイトで宇都宮ブリッツェンがチームで自社製品の開発に取り掛かっているという記事を目にしました。
私自身このようなケースは収益増加を見込めるほか、経営基盤の拡大やチームスポンサー依存への脱却を図れると感じたと同時に、日本のチームではまだまだ浸透していないようにも感じています。
ですが、世界のプロサイクリングの世界では、トップチームが自らの名を冠した製品を開発するケースが増えてるそうです。
なぜ彼らは自転車メーカーやパーツブランドに完全に頼るのではなく、自社開発に乗り出すのでしょうか?
今回は、自転車チームが自社製品を開発する背景や理由について解説します。
自転車チームが自社製品を開発する背景

近年、ワールドツアーチームをはじめとするプロチームが、単なるスポンサー契約に依存するだけでなく、自社ブランドや独自の製品開発に着手する例が増えています。
この動きの背景には、以下のような要因があるそうです。
① 競技パフォーマンスの最大化
プロチームは、レースでのパフォーマンスを最大化するために、自分たちに最適な機材を求めます。既存メーカーの製品が必ずしも理想的とは限らず、「自分たちの求めるスペックを満たす製品がないなら、自分たちで作ろう」という発想が生まれるのです。
✅ フレーム設計:剛性、軽量性、エアロ性能のバランスを独自に最適化
✅ ホイール開発:特定のレース条件に特化した形状やリムハイトの追求
✅ コンポーネント選定:パワーメーターやクランクの精度向上
実際に、INEOS Grenadiers(旧チーム・スカイ)は、自社で開発したハンドルやコックピットを採用し、空力性能の向上を図っています。
② スポンサー依存からの脱却と収益基盤の強化 💰
プロサイクリングチームは、メーカーからのスポンサー提供を受けて機材を使用するのが一般的です。しかし、この依存度が高すぎるとメーカーの意向に左右されるリスクが生じます。
✅ メーカーが供給を停止すると機材の安定供給が困難になる
✅ 自分たちの要求に合わない機材でも使わざるを得ない
✅ スポンサー契約が終了すると製品開発の連続性が失われる
こうした課題を解決するため、自社ブランドを立ち上げ、独自の製品を市場に投入することで、新たな収益源を確保しようとする動きが増えています。
例として、バーレーン・ヴィクトリアスの「MERIDA REACTO」や、UAEチーム・エミレーツの「COLNAGO V4RS」は、チームのフィードバックが直接反映されたモデルとして注目されています。
③ 技術革新のリーダーシップ確立
トップレベルのチームは、最新技術のテスト環境として機能します。レースで得られたフィードバックをもとに、より高性能な機材を開発し、市販化することで、ブランドの価値を高める狙いがあります。
✅ 新素材のテスト(例:カーボンの積層最適化)
✅ 空力解析(風洞実験やCFDシミュレーションの活用)
✅ 電子制御システムの導入(シフトやサスペンションの最適化)
こうした技術革新をリードすることで、「このチームが使う製品なら間違いない」といったブランドイメージを確立し、市場での競争力を高めることができます。
具体的な自社製品の開発事例

① BMC – チームのために開発された「Speedmachine」
BMCは、スイスの自転車メーカーですが、AG2Rシトロエンチームの要望を受け、「Speedmachine」という新型タイムトライアルバイクを開発しました。
従来のTTバイクよりも空力性能を高め、選手ごとのポジション調整を細かく行える設計が特徴です。
② INEOS Grenadiers – ピナレロとの共同開発「DOGMA F」
INEOS Grenadiersは、ピナレロと共同で「DOGMA F」を開発しました。
このバイクは、ツール・ド・フランスでの実戦データを基に軽量化と剛性の最適化が図られたモデルであり、現在もトップ選手に愛用されています。
③ UAE Team Emirates – COLNAGOとの特別プロジェクト
UAEチーム・エミレーツは、COLNAGOと連携し、「V4RS」を開発。
タデイ・ポガチャルがツール・ド・フランスで使用し、そのパフォーマンスが証明されたことで、世界中のサイクリストから注目されました。
まとめ – なぜ自転車チームは自社製品を開発するのか?

✅ レースで勝つために、最適な機材を自分たちで作る必要がある
✅ スポンサー依存を減らし、長期的な収益基盤を確立したい
✅ 技術革新をリードし、ブランド価値を高める
こうした理由から、近年のトップチームは、単にメーカーの機材を使うだけでなく、自社開発や特注仕様の製品にこだわるようになっています。
この流れは今後も続き、プロチームが機材開発に積極的に関わることで、市場に新しい革新的な製品が登場することが期待されます。
近年では日本国内のスポーツ自転車事業は下火になっているようにも感じていましたが、これらの動きが国内でも加速してより多くの収益を得ることができれば海外と同じように活発的な市場になるでしょうね!