「ロードバイクメーカー」アスタナも使用する中国のロードバイク『XDS』とは?
近年、中国ブランドの台頭が目覚ましい中で、ついにワールドチーム「アスタナ・カザクスタン」が選んだ中国製バイクが登場しました。その名も 「XDS(エックスディーエス)」。
日本ではまだ聞きなれないブランドですが、その実力はカーボン技術・レース志向・次世代素材開発力という3つの軸で、ヨーロッパの名門メーカーとも十分に渡り合えるレベルに達しています。
そもそも「XDS」ってどんなメーカー?

XDSは中国・広東省に本拠を置く総合自転車メーカーで、正式名称は「Guangdong Xidesheng Bicycle Co., Ltd.」。実は創業30年以上の歴史を持ち、年間約300万台以上の自転車を製造する巨大メーカーです。
特徴的なのは次の3点:
- 世界最大規模のカーボンフレーム工場を自社保有
➡ 他社のOEMも多数。製造だけでなく、素材開発から製品化までを完全内製。 - 世界初「マグネシウム合金×カーボンハイブリッドフレーム」など先進素材の実績多数
➡ カーボン+金属の組成技術で、軽量化と剛性バランスを追求。 - アスタナの選定を勝ち取る競技実績・開発陣
➡ 2023年からアスタナと提携開始、特注開発のプロトタイプがUCIレースで使用中。
XDSは“レース用”として本当に通用するのか?
結論:通用するどころか「次世代の主役」になりうるポテンシャルあり
従来の中国ブランドが「価格重視」「入門用」のイメージに甘んじていたのに対し、XDSは真逆の戦略をとっています。
価格を抑えるための妥協ではなく、“素材と設計にコストをかける”姿勢が際立っているのです。
日本ではまだ無名ですが、ヨーロッパでは一部のセミプロチームやアジア系プロ選手が**「あえてXDSを選ぶ」動きが出てきています**。これは、過去のコルナゴやキャノンデールが“プロ供給から市販化へ”という流れを辿ったのと酷似しており、「本物を先にプロに使わせる」というマーケティング設計の意図が感じられます。
アスタナ使用モデル「XDS F9000」について
- フレーム重量:780g(Mサイズ)
- エアロチューブ構造+UCI認証済
- 統合型ステム/専用ハンドルバーによる内装ケーブル設計
- SRAM RED AXSまたはShimano Dura-Ace Di2で供給
- チームロゴ入りカラーが支給され、一般販売は未定(限定的)
F9000はXDS製の独自モールド(鋳型)による完全新設計。 OEMではなく、開発・成形・テストまでをアスタナと共同で行っていることが、ただの「中国ブランド」にとどまらない証です。
どんなサイクリストに向いている?
| タイプ | XDSがフィットする理由 |
|---|---|
| ✔ 高性能なカーボンバイクに興味がある中・上級者 | 伝統に縛られず、合理的に性能を追求する人に向く |
| ✔ 他人と被らないバイクが欲しい個性派 | XDSはまだ「通な選択肢」。知る人ぞ知る存在感が魅力 |
| ✔ レースにも使いたい実戦志向派 | アスタナ供給=十分な剛性と空力性能。走っても魅せても一級品 |
| ✔ 国内で価格が高騰しているバイクに不満のある人 | 中国ブランド=価格優位と思いきや、**「中身に金をかける中国製」**の先駆けに |
まとめ:「中国発・本気のレースブランド」の時代がやってきた
かつて台湾が“安かろう”から“高品質の中心地”へ進化したように、中国製=量産という時代は終わりを迎えつつあります。
XDSは、プロチームへの供給を皮切りに、今後グローバル市場で本気のブランドとして再定義される可能性が高い存在です。
日本での流通は限定的ですが、今後代理店や直販ルートを通じて**“玄人の間で選ばれる中国バイク”**として話題になる日は近いでしょう。
